コープデリにいがたの広報誌「こーぷふる」2025年10月号

コープデリにいがたの組合員広報誌「こーぷふる」をご紹介します。生活協同組合コープデリにいがた


>> P.7

エピソード58心を満たす支援コープデリグループの組合員数は約550万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。illustration:MaikoDakeコープデリグループは、各地域のフードバンクや社会福祉協議会などに、組合員から寄せられた食料品などを寄付し、支援を必要としている人に届けている。コープみらいの寄付先の一つが、NPO法人フードバンクTAMAだ。東京都日野市を中心とした多摩地域のひとり親家庭やその支援団体、児童福祉施設などに無償で食料品を提供している。本当に困っている人、とりわけ未来ある子どもを応援すること。1件1件必要なものを聞き、できる限り満足してもらえるように。2016年の設立時に決めたのが、この方針だ。「同じ食料品を一律に送るプッシュ型は素早い支援ができますが、要望と合わず貴重な食べ物が無駄になることがあります。だから私たちは、事前に必要な物と量を確認し、いつ渡せるか伝えています」と立ち上げメンバーの一人である芝田さんは説明する。「例えば、虐待されて自立援助ホームに引き取られた子は、初めはインスタント麺などしか食べません。お米や果物のおいしさを知らないんです」そんな子どもたちも、施設の職員に支えられ、徐々に変わっていく。我慢することが多いくらしの中でアルバイトをして、頑張って進学し、就職する。また、ひとり親家庭の子どもたちは、毎年贈る夏休みの果物やクリスマスのケーキに跳び回って喜び、うれしそうにかぶりつく。そうした子どもたちの成長やほほえましい姿を見ることが芝田さんの喜びであり、活動の原動力だ。………§………芝田さんから引き継いで今年度から事務局長を務める佐藤さんは、8年前から活動に参加している。軽い気持ちでのぞいたシンポジウムで貧困の実態を知り、衝撃を受けたからだ。「私も子どもが2人いるので、同年代の子がご飯を食べられない、しかも同じ地域にそんな子どもがたくさんいることを知って、本当に胸が痛くなったんです。少しでも力になりたい、それが関わるきっかけ。食料品を届けると、『私は孤独だと思っていたけれど、支援を受けて、自分たちを気にかけてくれる人がいるってことがわかった』という手紙をもらいます。『生きていていいんだって思えた』『来週にはご飯が届くと思うと安心して過ごせる』という声も聞きます。そんなことを言わせる貧困が憎い。でも、頑張る力にもなります」かつてシングルマザーとして苦労した人からは、食料品とともに「あなた方に寄付するのは、ひとり親家庭への支援が一番手厚いから。あの頃の私みたいな人に渡してください」という言葉ももらった。佐藤さんたちは、こうした支援者の想いも一緒に届けることを大事にしている。………§………利用者からは、「食事をおなかいっぱい食べること、心の栄養であるお菓子を食べることの大切さに気付かされました」「お米がとても高くなったので、お米の支援は本当に助かっています」といった手紙ももらう。増え続ける利用者のため、常に新しい支援者を募り、食料品が減らないよう努めている。活動は楽ではないが、「人間は、誰かにありがとうと言われると、うれしくて元気が出る生き物だから」と笑う佐藤さん。これからも芝田さんら仲間とともに、顔の見える支援を続けていく。過去の物語もこちらから読めますあなたのエピソードをお寄せください。コープ職員との心に残る出来事を随時募集しています。氏名・電話番号・組合員コードを記入し、郵便(〒336-8526埼玉県さいたま市南区根岸1-4-13コープデリ連合会コミュニケーション推進部宛)か、左記のWeb応募フォームよりお送りください。♦実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、読み物の形にまとめています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。イラストはイメージです。07


<< | < | > | >>