表面ざくざく、中ほくほくの芋けんぴを、口どけの良いチョコレートで包みました。
「かけら」を無駄なく使用した、食品ロス削減につながる商品です。
楽しい食感が人気の「CO・OPざくざくブロックチョコレート(芋けんぴ入り)」は、「CO・OP九州の芋けんぴ」などの製造時に出るかけらをチョコレートで固めたお菓子。かけらが廃棄されていることを知った生協職員の「もったいない!」という気持ちから、半年弱の開発期間を経て2024年11月に発売されました。創業120年を超えるお菓子メーカー・平塚製菓株式会社が、千葉県香取市で製造しています。
SDGsが広まり、廃棄される原料を活用したお菓子は増えていますが、製品化は簡単ではありません。
「例えば傷があって出荷できない果物を使う場合も、お菓子にするにはピューレにして糖度を調整したり、煮詰めてゼリーにしたりする必要があります。芋けんぴがスムーズに製品化できたのは、加工せずそのまま使えたから」と商品開発課の大川友也さんは説明します。
「芋けんぴをたくさん入れた方がおいしいと思い、ギリギリの配合率を攻めました。チョコレートはビターやホワイトなども試しましたが、芋の風味と最も合うミルクタイプに決めました」
左から平塚製菓株式会社
製造部 浪川勇祐さん、商品開発課 大川友也さん
製造工程で最も大事なのは、砂糖でがっちりコーティングされた芋けんぴを、すべての型に偏りなく、設定比率どおりに入れること。
「具材が大きいほど均一に入れるのが難しい。芋けんぴは自分が関わってきた中で最も大きく硬いです」と話す製造部の浪川勇祐さんは、老舗ならではの豊富なノウハウを活かし、ミリ単位の調整を繰り返して機械を設定。
「芋けんぴは食感が魅力なので、少しずつ砕くことで一定の大きさを保ち、1個1個にゴロっと入るようにしています」
2020年9月から稼働する香取工場は、1年を通してチョコレートに最適とされる室温25度以下、湿度60%以下に保たれています。同じ製造ラインで違う製品を作ることもあるため、機械も毎回丁寧に清掃。
「外せる部分は外して、しっかりチョコレートをかき取ってから洗っています。正直大変ですが、すべては皆さんに安心して食べていただくため」と浪川さんは力を込めます。
「チョコレートは奥の深い素材。特性を考えて細部まで工夫して作っているので、芋けんぴとのベストバランスをお楽しみください」
ゴロっと入った芋けんぴの存在感とチョコレートのまろやかさ。おいしくて未来にもつながる商品を、ぜひお楽しみください。
原料のチョコレートをタンクに投入、熱を加えて溶かします(写真A)。別の機械に移していったん冷まし、再び加熱。テンパリングという工程で、艶のあるなめらかな口どけのチョコレートになります。
芋けんぴのかけらを機械に投入(写真B)。少し砕きながら攪拌機でチョコレートと混ぜ合わせます(C)。ここでも回転する羽根が芋けんぴを砕きます。
芋けんぴ入りのチョコレートを型に流し込みます。型から飛び出ている芋けんぴをヘラで折りながら(写真D)、表面をならして平らにします(E)。
冷却してしっかり固め、金属検出器を通してからチョコレートを型から外します。担当者が目視でチェックし、割れ・欠け・油浮きなどがある不良品を取り除きます(写真F)。
重量計測と充填を自動で行う機械で、規定の量を袋に充填します(写真G)。賞味期限を印字し、重量などを検査してから箱に詰めて出荷します(H)。
【広報誌2025年10月号より】