粒の舌ざわりと塩気が食欲をそそる辛子明太子。
ひとくちサイズでバラ凍結しているので、使いたい分だけ取り出せて手間要らず。
原料にこだわり、丁寧に加工される様子を、本場・福岡の工場で取材しました。
プチプチの食感と、程よい塩辛さの「CO・OP 無着色ひとくち辛子明太子(切子)」。同商品を製造するマルキュー食品株式会社(福岡県大野城市)代表取締役社長の高橋史郎さんは「新鮮な原料を使っているからこその食感とこだわりの味付けで、年配の方にもお子さんにもおいしく食べていただけます」と自信を見せます。
明太子やたらこは、スケトウダラという魚の卵巣を味付けしたもの。この商品は処理過程で皮が破れてしまった「切子」という卵巣を使い、食べやすい大きさにカットしています。開発した2011年当時、明太子やたらこはひと腹単位で売られていましたが、「家庭でもっと手軽に食べてほしい」とカットして発売。高橋さんは「手軽さがコロナ禍で見直され、ここ3~4年でカットタイプが主流になりました」と明かします。
機械で切るメーカーもありますが、同社は熟練のスタッフが一つ一つ手作業でカット。その理由を副工場長の池内智子さんは「原料の卵巣は個体差があって大きさが均等ではなく、機械だとロスが大きい」と説明します。「卵の状態を判断するには、触って軟らかさを確認する必要があります。カットの工程で選別ができる点も手作業のメリットです」
スケトウダラは主にアメリカ産とロシア産がありますが、それぞれ食べているものや生息する水深などが違い、品質の差を生みます。自ら買い付けもする高橋さんは「ロシア産に比べ、アメリカ産は粒が大きく豊かな食感があります。コープ商品は味にこだわり、ずっとアメリカ産を使用しています」と胸を張ります。
コープでは組合員からの「不要な添加物を使わないで」という声に応え、赤いたらこが当たり前だった1973年に無着色・無発色のたらこを、その3年後に明太子を発売。現在の商品につながっています。「原料の質が悪いと商品の色も悪くなるので、原料選びがとても大事。自然の状態できれいな色のものを選んでいます」と高橋さん。
さらに、同社は水産資源や海洋環境に配慮していることを示すMSC認証を取得。漁の際には他の魚を獲らないよう工夫した網を使ったり、網の目を粗くして幼魚を獲らないようにしたりと、厳しい漁獲制限を守っています。 明太子づくりへの想いを「月並みですが、食べてくれた人の『おいしい』の一言に勝る喜びはありません。これからも、自分たちが買いたいと思うものを作っていきたいです」と語る高橋さん。
まずは炊きたてのご飯にのせて、その食感を楽しんでみませんか?
原料となるスケトウダラの漁が行われるのは毎年2月上旬頃。
船上(写真A)ですぐに卵巣を取り出し凍結するため新鮮です。社長と工場長が米国アラスカまで赴き、原料をチェック。
工場に原卵を受け入れる時は、産地と温度管理、MSC認証済みかどうかを確認、鮮度とうまみを逃さないよう解凍します。
たるの中に入れて、調味液が行き渡るよう回転させながら塩漬け(写真B)。
このときの塩分量が、食べるときの味と食感に直結します。
2018年には組合員の要望を受け、おいしさを維持しつつ塩分量を低減するリニューアルも実施。
余分な水分を切り、経験豊かなスタッフがスケトウダラの皮やひも状の膜、網の繊維などを取り除き、成熟卵、未成熟卵、過熟卵を選別(写真C)。
色味などもチェックし、たらこと明太子にするものを分けます。
唐辛子やゆずこしょうなどを配合した専用の調味液に3~5日間漬け込み(写真D)、冷蔵庫で味を浸透させた後、半日から1日かけて余分な水分と調味液を取り除きます。
卵の色と品質、粒感を目と手で確認しながらカット(写真E)。
パックに移して規格通りの重さになっているか計量します(F)。
仕上げに唐辛子の粉を振りかけて(G)、ふたをし、風味を閉じ込めるため急速冷凍します。
急速冷凍したものを目視で検品、機械で包装し(写真H)、賞味期限などを印字。重量を確認し、X線探知機で異物、特に魚の骨の混入がないかチェック。
金属探知機でも検品して箱詰めします(I)。
一定量ごとに細菌・官能などの検査を行い、問題がなければ冷凍保管のまま出荷します。
【広報誌2024年11月号より】