シンプルな原材料で手作り感のおいしさを大切に作っている
「CO・OP こだわりのおかき しお」。
米菓一筋で創業97年、丸彦製菓株式会社の技術を詰め込んだ自信作です。
淡いやさしい焼き色で、食べると食感の軽さが新しい「CO・OP こだわりのおかき しお」。2019年9月発売のコープクオリティ商品です。製造元である丸彦製菓株式会社(栃木県日光市)品質管理室の守谷和高さんと半田裕さんに話を聞きました。
「昔ながらの堅いおかきとサクッと軽いおかきの違いは、生地の中にどのくらい空気が入っているかです。堅いものは生地が密で、軽いものはふんわりとした食感が魅力のスナック菓子のようなイメージです。一般的には、スナック菓子は素材の風味を楽しむものではないと思います。私たちは相反する要素を持った、“食感は軽いけれども、おかきならではの米の風味をしっかりと感じられる”おかきの完成を目指しました」と守谷さんは語ります。
開発にあたり、生地の試作は10数回、味の試作は100回ほど繰り返したといいます。
「おかきの肝は生地の水分量です。この商品は焼くときの水分量が27%なんですが、1%違うだけで焼き上がりの大きさも形も変わります。生地の乾燥には時間がかかるのですが、一番重要な工程です」と半田さんが教えてくれました。
もち米と、表面にぽつぽつと黒っぽく見える昆布、他に鹿児島県枕崎産のかつおぶしと長崎県五島列島の塩、しいたけの粉末を使用しています。すべて天然由来のうま味たっぷり、国産素材です。
「生地に昆布が入ると膨らみにくくなるので、ふっくらと焼き上げるのに苦労しました」と半田さんは続けます。創業97年の丸彦製菓の技術で、生地に筋を入れる・水分を調整するなどして、生地の形・反り具合をコントロールしました。
製造について半田さんが説明してくれました。
「もち米のつき方で生地の状態も変わるので、もち米を水に浸すところから自社で製造しています。完成までには10~11日かかるんですよ。工場生産ですが、多くの人手がかかっています」
工場では280人ほどが働いており、常時約30人で製造しています。
「原材料が農産物(米)なので、やはり季節によって味や水分量が変わって、同じように作っても違う仕上がりになるんですね。そういうときは焼成機の温度や高周波の強さ、味付けも調整する必要があります。製造中に3回検食しますが、その際には品質管理室はもちろん、現場の責任者も担当者も食べて、違いに気付くようにしています。製造現場では、『次工程の人にいい商品を手渡すつもりで仕上げよう』とみんなで仕事をしています」と半田さんが続けます。
「おかきやおせんべいは日本を代表する、普遍的に愛されている嗜好品だと思います。シンプルな原材料を使って、手作り感のおいしさを大切にしています。若い方や世界の方々にも食べていただきたいです!」と最後に守谷さんが話してくれました。
「CO・OP こだわりのおかき しお」をお供に、お茶を飲みながらほっとできるお時間を過ごしていただきたいです。
お米屋さんから研米済のもち米が届きます。それを再度研米します。
次に、洗った後浸漬タンクで約8時間水につけます(写真A)。使用する水は日光連山の伏流水です。
水からあげたらローラー式の圧ペン機で粉砕し、適正な粒度の粉にします。
そして、蒸練機を使って蒸して軽く練ることで粗めのもちのような状態にします。
そこに昆布を混ぜ込んでから、杵と臼が一体化した胴搗機で100回ほどついて、きめが細かく弾力のあるもちにします(B)。
もちができたら中2日寝かせて、焼いたときに膨らみやすい状態にします。
大きなもちを、機械で小さく切ります(写真C)。切断時の生地の水分量は44~45%で、それを27%まで下げます。しかも生地の中の水分が均一であることが重要。
一気に乾燥させてしまうと生地が割れるため、乾燥機で10%乾燥させ寝かせるのを2度繰り返し、徐々に水分量を下げます。
ここまでで最初の工程から5日かかります。
電子レンジと同じ構造の高周波焼成機で焼きます(写真D)。
焼成機は約20mの長さがあり、余熱(一度生地をやわらかくする)、高周波(中から膨らませる)、焼き色付け(外側をかりっと焼き、ほどよい焼き色に色付け)と3段階に分かれています(E)。
焼き温度と高周波の強さは原材料の状態によって調整します。ここで1度検食をして、焼き色のチェックと、しっかり芯まで火が通っていて、内側がふんわり、外側がカリカリに焼けているかを確認します。
焼きたての状態で、人の手でガラガラと釜を回しながらシーズニングをまんべんなくなじませ、コーティング油も行き渡らせて味付けします(F)。ビニール袋に入れて箱詰めし、味が落ち着くまで1日おきます。ここで2度目の検食をします。
最後の検食は包装前の選別時です。
翌日、目視での検品後(写真G)包装機でまずは個包装し、外袋には手詰めをします(H)。
重量を確認してからシール、賞味期限を印字します(I)。
外袋の検品をしながら人の手で箱詰めし(J)、出荷場へ。
【広報誌2024年1月号より】